第7回: キャッチボールは野球の基本

 よく野球の基本はキャッチボール、つまり「投げること」と「捕ること」だと言われます。毎年のことですが、近鉄はこのキャッチボールがうまくありません。次の表は、今年失策を犯した野手の最近4年間の失策数です。

選手名失策数
1995年1996年1997年1998年
武藤孝司-11015
中村紀洋18111813
ローズ-566
クラーク--66
水口栄二17785
的山哲也0254
吉田剛6804
礒部公一--04
村上嵩幸0133
古久保健二3432
吉岡雄二2202
大村直之1221
鈴木貴久1121
高須洋介---1
大森剛0001
野手合計66617468

 今年は昨年に比べて失策数が減っていますが、これは佐々木監督の守備重視の選手起用によるもので、実際には大事な場面でミスを連発していました。
 とくに武藤は、千葉ロッテの小坂と最多失策争いを展開してしまいました。終盤になって極端に出番を減らされたため、1個差でかろうじて最多失策を免れましたが、守備機会の差を考慮に入れると事実上の最多失策と言われても文句は言えない成績でした。また、昨年以上に指名打者での起用が多くなったクラークは、失策数こそ昨年と同じ6ですが、守備試合数が80から48に激減したことを考えると、守備面でチームの足を引っ張ったことは否定できません。一方、昨年までの3年間に二度も最多失策を記録した中村紀洋は、13失策と決してほめられた数字ではないものの、確実に守備力を向上させました。
 また失策としては記録されないものの、大村の肩の弱さもチームにはマイナスになりました。俊足を生かした広い守備範囲が評価されてゴールデングラブ賞を受賞した彼ですが、単打を二塁打に、二塁打を三塁打に、三塁打をランニング本塁打にされたり、なんでもない単打で二塁走者の生還を許したり、平凡なフライを犠飛にされたことが何度もありました。一方、強肩が自慢のレギュラー捕手・的山も、失策数では昨年より成長したように見えますが、捕逸数が1997年の7個から12個(リーグ最多)に激増しました。

 近鉄は、1991年のトレーバー一塁手以降、昨年まで一人もゴールデングラブ賞の受賞者を出していませんでした。特に遊撃手部門は、「ダイヤモンドグラブ賞」と呼ばれた時代(1972〜1985年)を合わせ、過去に一度も受賞者がいないのです。近鉄球団49年の歴史の中で、過去に一度も獲得したことのない個人タイトルは、現存しない「最優秀投手」(1953〜1959年。受賞者は西鉄と南海の選手のみ)を除けば、「最多ホールド」(1996年〜)とこの「ゴールデングラブ賞・遊撃手部門」だけなのです。武藤、高須をはじめ、レギュラー遊撃手候補の選手は、この賞の獲得を目指して頑張ってほしいものです。

 また捕手陣のリードにも問題がありました。リードを数字で示すのは困難ですが、一つの指標として、今季近鉄から1号本塁打を放った選手の一覧を見てみましょう。

選手名球団月日過去1年0本通算1号
千葉ロッテ4月4日
プリアムオリックス4月7日
村松福岡ダイエー4月12日
佐々木西武4月16日
鈴木西武4月30日
ニールオリックス5月8日
松井西武5月12日
井出日本ハム5月15日
上田日本ハム5月28日
大村千葉ロッテ6月9日
福澤千葉ロッテ6月18日
小笠原日本ハム7月7日
内之倉福岡ダイエー7月27日
和田西武8月4日
松本千葉ロッテ8月9日
田口日本ハム9月23日
大塚西武9月28日
清水西武10月7日

 新外国人のプリアムは別にしても、ルーキーではない5人もの選手にプロ入り第1号をプレゼントしたのはいただけません。また、福澤、大塚、清水といった過去1年間に本塁打を1本も打っていなかった選手にも一発を浴びました。日本ハムの田口も、昨年9月27日以来ですからほぼ1年ぶりの本塁打になります。また、過去1年間に本塁打を打っている打者でも、ニール以前の打者はみな長距離打者ですから仕方ないとして、松井以降の打者はみな本塁打が一桁のいわば「短距離打者」です。そんな打者たちにどうしてこんなに打たれているのでしょうか。私にはバッテリーの油断としか思えません。来年はこのようなことのないようにしてほしいものです。

 以上、7回にわたって今シーズンの戦いぶりを見てきましたが、4年ぶりに優勝争いに参加した今年の経験を生かして、来年こそは10年ぶりのリーグ優勝、そして悲願の日本一を成し遂げてくれることを願っています。

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