1979年度日本シリーズ出場チーム
リーグ
優勝
近鉄バファローズ
(パシフィック・リーグ)
広島東洋カープ
(セントラル・リーグ)
監督西本幸雄古葉竹識

 古葉竹識監督の広島東洋は4年ぶり2度目のセ・リーグ優勝だったが、前回は阪急に1勝もできずに敗れ去った。その阪急時代には5回も日本シリーズに出た近鉄・西本幸雄監督も、1960年の毎日大映を率いてのシリーズと合わせ過去6回で3勝をあげたことは一度もなかった。どちらが勝っても初の日本一というフレッシュな顔合わせ。近鉄は本拠地の藤井寺球場がナイター設備不備のため使用できず、大阪球場でシリーズを戦うことになった。

10月27日第1戦近鉄1勝大阪球場(25,121人)
チームRHE投手リレー本塁打
広島010000001241北別府-大野-福士-渡辺秀
近鉄20010200X570井本
勝利井本1勝
敗戦北別府1敗試合時間3時間7分

 初戦、広島は17勝を挙げた北別府学、近鉄はプレーオフ同様、井本隆を先発に起用した。初回、近鉄は二死満塁から羽田耕一の2点適時打が出て先制、広島も2回に水谷実雄の適時打で1点を返す。しかし近鉄は4回に永尾泰憲、6回には石渡茂の適時打で着実に加点した。いずれも羽田の出塁から攻撃が始まっており、この日の羽田は3打数3安打2打点2得点の大活躍だった。投げては井本が広島打線を4安打2点に抑えて完投勝利を収め、近鉄は最高のスタートを切った。

10月28日第2戦近鉄2勝大阪球場(27,848人)
チームRHE投手リレー本塁打
広島000000000062山根-江夏-渡辺秀
近鉄00000040X440鈴木有田修1号
勝利鈴木1勝
敗戦山根1敗試合時間3時間1分

 第2戦は広島・山根和夫、近鉄・鈴木啓示、両先発投手の投げ合いとなった。山根は6回先頭の有田修三を三塁手・衣笠祥雄のエラーで出すまでパーフェクト、鈴木も3回と5回に安打で、また4回には死球でそれぞれ先頭打者を出したものの、いずれも後続に併殺打を打たせ、6回まで3人ずつで抑えていた。7回裏、近鉄はこの回先頭の小川亨が右前安打で出塁して山根の無安打無得点の夢をうち砕いた。ここで広島は守護神・江夏豊を投入したが、近鉄はマニエルが中前安打を放ってチャンスを広げ、アーノルドの犠飛でまず1点、続く羽田も中前に適時打を放って2点目、そして有田修が中越え2ランを打ち込んでとどめを刺した。鈴木投手は7回から3回連続で先頭打者を出塁させる苦しい投球が続いたが、終わってみれば6安打1死球でみごと完封勝利を飾った。

10月30日第3戦広島1勝2敗広島市民球場(29,032人)
チームRHE投手リレー本塁打
近鉄200000000260村田-柳田-山口
広島01000020X370池谷-江夏水谷1号
勝利池谷1勝セーブ江夏1S
敗戦柳田1敗試合時間3時間8分

 広島に移っての第3戦、近鉄は村田辰美、広島は池谷公二郎、ともに今季12勝を挙げている投手同士の先発となった。近鉄は初回、池谷の立ち上がりを攻め、一死満塁から栗橋茂が押し出し四球を選んで先制、さらに羽田の内野ゴロの間にもう1点追加した。広島は2回に水谷のソロで1点を返したが、その後は村田、柳田豊に抑えられ、近鉄も2回以降は池谷の前に無得点に抑えられていた。近鉄は7回、一死一二塁の場面で投手の柳田に代打を送らず、バントで送らせて二死二三塁としたが結局無得点。広島はその裏、柳田をとらえ、代打・内田順三の適時打でついに同点に追いつき、代わった山口哲治からもギャレットが適時打を放って一気に逆転に成功した。こうなると8回からは江夏を投入する必勝パターン。広島は日本シリーズ9試合目にして初勝利を挙げた。

10月31日第4戦広島2勝2敗広島市民球場(29,057人)
チームRHE投手リレー本塁打
近鉄002000001362井本-村田-山口-マニエル1号、有田修2号
広島00030020X570福士水谷2号、高橋慶1号
勝利福士1勝
敗戦井本1勝1敗試合時間2時間46分

 近鉄は中3日で井本、広島は福士明夫が初先発した。近鉄は3回、マニエルの2ランで4試合連続の先制点を奪ったが、広島も4回、山本浩二の犠飛の後、水谷に2ランが飛び出して一気に逆転、7回には近鉄の抑えの切り札・山口から、高橋慶彦が2ランを放って点差は3点に広がった。福士は最終回、有田修にソロを浴びたものの悠々と投げきって、広島は2勝2敗のタイに持ち込んだ。

11月1日第5戦広島3勝2敗広島市民球場(29,090人)
チームRHE投手リレー本塁打
近鉄000000000020鈴木-柳田
広島00000100X170山根
勝利山根1勝1敗
敗戦鈴木1勝1敗試合時間2時間52分

 第5戦の先発は、第2戦と同じ鈴木、山根両投手だったが、試合のほうも第2戦同様、緊迫した投手戦となった。得点のきっかけはなんと投手が作った。6回裏、先頭の山根が中前安打で出塁したのである。二死後、三村敏之の適時二塁打が飛び出して、広島が1点を先制した。山根は続く7回にも内野安打を放ち、この日2安打の活躍、投げても近鉄打線をわずか2安打に抑えて完封し、好投が報われなかった第2戦の借りを返した。これで広島は3連勝、一気に日本一へ王手をかけた。

11月3日第6戦近鉄3勝3敗大阪球場(27,813人)
チームRHE投手リレー本塁打
広島100000001260池谷-大野-渡辺秀-北別府三村1号、山本浩1号
近鉄01310100X690井本梨田1号
勝利井本2勝1敗
敗戦池谷1勝1敗試合時間2時間48分

 第6戦は再び舞台を大阪に移して行われ、広島は中3日の池谷、近鉄は中2日の井本が先発した。初回、広島は三村のソロで先制したが、近鉄も2回、二塁打で出た梨田昌崇平野光泰の内野ゴロで返して同点、3回にはマニエルの適時打の後、梨田が今度は2ランを放って一気に3点をリードした。その後も平野の犠飛、スクイズなどで着実に加点した近鉄が、井本のこのシリーズ2度目の完投勝利で快勝し、3勝3敗のタイに持ち込んだ。ここまですべて本拠地チームが勝つ「内弁慶」シリーズとなった。

11月4日第7戦近鉄3勝4敗大阪球場(24,376人)
チームRHE投手リレー本塁打
広島1010020004101山根-福士-江夏水沼1号
近鉄000021000391鈴木-柳田-山口平野1号
勝利山根2勝1敗セーブ江夏2S
敗戦柳田2敗試合時間3時間29分

 第7戦は両チームとも中2日で第5戦の先発投手が先発、鈴木と山根の3度目の対決となった。広島は3回までに6安打を浴びせて2点を奪い、鈴木投手をKOした。一方の近鉄は4回まで山根を打ちあぐねていたが、5回、このシリーズ21打席連続無安打と当たりの止まっていた平野に、待望の初安打が同点2ランという最高の形で飛び出した。しかし6回、4回から救援のマウンドに上がっていた柳田が水沼四郎に2ランを浴び、点差は再び2点に広がった。近鉄はその裏、一死二三塁という絶好の同点機を作ったが、後続の打者が福士に抑えられ、羽田の内野ゴロによる1点のみにとどまった。広島は7回に福士が永尾に安打を打たれると江夏を投入してピンチを防ぎ、あとのない近鉄も8回から山口を投入して味方の反撃を待った。そして迎えた9回裏、先頭打者の羽田が中前安打、代走・藤瀬史朗の二盗は捕手・水沼の悪送球を誘い、一気に無死三塁。続くアーノルドが四球を選び、代走・吹石徳一も二盗。平野敬遠で無死満塁となった。この時点で、西本監督もマウンドの江夏投手も逆転サヨナラでの近鉄初優勝を確信したという。ここで佐々木恭介が代打として登場、3球目を打った打球は三塁線ぎりぎりのファウルだったが、一塁側の近鉄ファンがフェアと思って紙吹雪をとばすほどの当たりだった。しかし佐々木は結局三振。続く石渡の2球目、スクイズを敢行したが、江夏−水沼のバッテリーはとっさの判断で高めに外し、三走・藤瀬は挟殺された。なお二死二三塁のチャンスも石渡三振でついえ、近鉄は初の日本一を逃した。この場面は「江夏の21球」として長く語り継がれることになる。

1979年度日本シリーズ表彰選手
最優秀選手賞高橋慶彦(広島)
打撃賞高橋慶彦(広島)
敢闘賞井本隆(近鉄)
最優秀投手賞山根和夫(広島)
技能賞三村敏之(広島)
優秀選手賞水谷実雄(広島)

打撃成績
守備 選手名 背番号 投打 試合 打数 安打 本塁打 打点 盗塁 打率
標準的オーダー
() 平野光泰 9 右右 7 17 1 1 5 0 .059
() 石渡茂 6 右右 5 21 4 0 2 0 .190
() 小川亨 7 左左 7 24 6 0 0 2 .250
() マニエル 4 右左 7 23 9 1 3 0 .391
() 栗橋茂 2 左左 7 18 2 0 1 0 .111
() 羽田耕一 3 右右 7 24 8 0 5 1 .333
() 梨田昌崇 8 右右 6 13 3 1 2 0 .231
()遊 永尾泰憲 30 右左 7 20 4 0 1 1 .200
() 柳田豊 21 右右 3 1 1 0 0 0 1.000
交代要員
( アーノルド 41 右右 6 15 1 0 1 0 .067
( 阿部成宏 38 左左 6 6 0 0 0 1 .000
( 有田修三 24 右右 5 10 3 2 3 0 .300
( 藤瀬史朗 40 右右 4 0 0 0 0 2 -
( 井本隆 12 右右 3 7 0 0 0 0 .000
( 鈴木啓示 1 左左 3 5 0 0 0 0 .000
( 池辺豪則 27 右右 3 2 0 0 0 0 .000
( 佐々木恭介 5 右右 3 2 0 0 0 0 .000
( 山口哲治 29 右右 3 0 0 0 0 0 -
( 村田辰美 34 左左 2 1 1 0 0 0 1.000
( 橘健治 19 右右 1 0 0 0 0 0 -
( 吹石徳一 25 右右 1 0 0 0 0 1 -
チーム成績 7 209 43 5 23 8 .206

投手成績
選手名 背番号 投打 登板 勝利 敗戦 セーブ 投球回 被安打 与四球 奪三振 自責点 防御率
先発投手陣
井本隆 12 右右 3 2 1 0 24 14 3 16 7 2.63
鈴木啓示 1 左左 3 1 1 0 19 19 2 16 2 0.95
村田辰美 34 左左 2 0 0 0 4 2/3 4 5 2 2 3.60
救援投手陣
橘健治 19 右右 1 0 0 0 1 1 1 0 0 0.00
柳田豊 21 右右 3 0 2 0 7 1/3 5 1 11 4 5.14
山口哲治 29 右右 3 0 0 0 4 4 0 3 1 2.25
チーム成績 7 3 4 0 60 47 12 48 16 2.40


                   
1978年度
シーズン
1979年度
プレーオフ
過去の戦績
一覧表
「江夏の
21球」
1980年度
シーズン

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