西武近鉄
日付試合結果勝率順位勝差試合結果勝率順位勝差マジック
9/15.5871-.53026.0
9/16.5871-3-1.53525.5
9/17.5871-4-3.53925.0
9/183-2.5901-6-2.54425.0
9/19.5901-.54425.0
9/203-8.5851-5-1.54824.0
9/213-4.5791-.54823.5
9/22.5791-13-5.55223.0
9/234-2.5831-13-8.55723.0
9/24.5831-.55723.0
9/259-5.5871-5-2.56123.0
9/260-1.5821-.56122.5
9/27.5821-.56122.5
9/28.5821-.56122.5
9/297-8.5771-11-3.56521.5
9/30.5771-.56521.5
10/16-0.5801-0-6西.56022.5
10/25-10.5751-10-5西.56421.5
10/3.5751-.56421.5
10/46-9.5701-1-0.56820.5近M14
10/5.57020.02-0.5711-近M13
10/6.57020.0.5711-近M13
10/75-2.5741-2-5西.56621.0近M13
10/84-2.5781-2-4西.56122.0近M13
10/98-0.5811-5-3.56522.0近M12
10/10 6-4.5851- 3-0.56921.5 近M10
7-2.573
10/1117-5.5881-4-2.57621.5近M9
10/128-9.5831-2-0.58020.5近M7
10/133-2.5871-4-3.58320.5近M6
10/145-2.5901-8-3.58720.5近M5
10/151-3.5851-4-6.58220.5近M4
10/162-1.5891-6-4.58520.5近M3
10/17.5891-1-2.58121.0近M3
10/18.5891-12-2.58420.5近M2
10/19 .5891- 4-3.58720.0 西武優勝
4-4.587
球団名略号:西=西武、近=近鉄、急=阪急、ロ=ロッテ、日=日本ハム、南=南海
勝差は首位チームとのゲーム差

 1988年のペナントレースは、序盤から西武が独走し、6月28日には2位・近鉄に8ゲームの大差をつけた。しかし近鉄は8月半ばの7連勝で3ゲーム差まで迫り、その後ややもたついて9月13日に6ゲーム差まで離されたものの、9月半ば以降さらに驚異的なペースで再び追い上げ、9月後半は負けなしの8連勝で一気に首位・西武に肉薄した。そして10月1日からの直接対決2連戦、近鉄は連勝すれば首位に浮上するチャンスだったが、1勝1敗と星を分けた。しかし10月4日に近鉄が勝ち、西武が敗れたため、残り試合の多い2位・近鉄にマジックが点灯、近鉄は翌日も勝ってこの日試合のなかった西武を抜き、ついに首位に躍り出た。
 そして10月7日から、近鉄は13日間でダブルヘッダー2回を含む15連戦という超過密日程をこなすことになる。そのスタートは、2位に落ちた西武との最後の直接対決2連戦だったが、近鉄はここでよもやの連敗、首位から転落し、ゲーム差も2に開いてしまった。しかし近鉄にはまだマジックが点灯しており、優勝の可能性は十分残っていた。10月9日からのロッテとの5日間6連戦に全勝、ゲーム差は0.5につまった。翌日も勝って7連勝、9月14日から10月14日まで18勝3敗、西武以外には1敗もしなかったことになる。しかし西武も、2位に落ちてから7勝1敗のハイペースでとばし、近鉄の猛追をかわし続けた。

10月15日25回戦南海13勝11敗2分大阪球場(32,000人)
チームRHE投手リレー本塁打
近鉄1100010104110小野-加藤哲-石本-木下オグリビー22号、鈴木19号
南海10002012X6100西川-山内和-吉田豊-井上佐々木15号、岸川7号
勝利井上8勝3敗20S
敗戦石本3勝3敗2S試合時間3時間24分
勝利打点岸川2

 ダイエーへの身売りが決まっている南海の本拠地最終戦ということで、球場は異様なムードに包まれていた。近鉄はすでに10勝を挙げている左腕・小野和義、南海も左腕の西川佳明を先発に起用した。初回、近鉄は鈴木貴久の適時打で先制、その裏佐々木誠のソロで同点とされたが、直後の2回、大石第二朗の適時打で再び1点を勝ち越した。しかし5回裏、南海は一死から藤本博史、代打・畠山準、河埜敬幸、湯上谷宏の4連打で逆転、直後の6回表にオグリビーのソロで追いつかれたが、7回裏に湯上谷の適時内野安打で再び勝ち越した。しかし優勝のためには負けられない近鉄も8回表、鈴木のソロで再び追いつく粘りを見せた。その裏、リリーフの石本貴昭が走者を出したところで、近鉄はルーキーの左腕・木下文信を投入、ところがこれが裏目に出て、岸川勝也に左翼席へ運ばれてしまった。最終回の反撃もリリーフエースの井上祐二に抑えられ、近鉄は痛い敗戦を喫した。惜しまれるのは、6回、8回とも、本塁打で追いついた後、羽田耕一の二塁打で一死二塁のチャンスを作りながらどちらも逃したことだった。
 しかしこの日、西武も日本ハムに1-3で敗れたため、ゲーム差はそのまま、近鉄のマジックは4となった。

10月16日26回戦近鉄12勝13敗1分藤井寺球場(32,000人)
チームRHE投手リレー本塁打
南海000001003491加藤-吉田豊-矢野-橋本-村田
近鉄05000010X6102村田-吉井山下8号、ブライアント30号
勝利村田10勝3敗セーブ吉井9勝2敗24S
敗戦加藤8勝10敗3S試合時間2時間49分
勝利打点山下4

 南海はここまで8勝の加藤伸一、近鉄は9勝のベテラン・村田辰美を先発させた。村田は初回、無死二三塁のピンチを迎えたが、これを0点に切り抜けて波に乗った。打線は2回に山下和彦の2ランで先制し、真喜志康永が三塁打の後、大石の右飛を岸川が落球して1点を追加、さらに新井宏昌の中前安打が出たが二塁走者・大石が一挙に本塁をついてタッチアウトとなり、この回の攻撃は終わったかに見えた。しかし新井を一塁においてブライアントが2ラン、一挙に5-0とリードした。南海は9回、羽田のエラーをきっかけに、この回からリリーフした守護神・吉井理人を攻め、3安打で3点を返したがあと一歩及ばなかった。
 この日、西武も阪急に勝ち、73勝51敗6分で全日程を終了した。近鉄は残り4試合でマジックは3、3勝しなくても2勝2分で優勝、1勝3分で同率となる。

10月17日26回戦阪急11勝15敗西宮球場(15,000人)
チームRHE投手リレー本塁打
近鉄000000010180阿波野ブライアント31号
阪急00000200X290星野石嶺22号
勝利星野13勝9敗
敗戦阿波野14勝12敗試合時間2時間50分
勝利打点石嶺13

 近鉄は阿波野秀幸、阪急は星野伸之、ともに二桁勝利を挙げている投手同士の先発で、投手戦となった。0-0の均衡が破れたのは6回、石嶺和彦の2ランが飛び出して、阪急が2点を先行した。近鉄は7回表に二死満塁のチャンスを逃し、8回にブライアントのソロで1点差とした後の二死二三塁のチャンスも、星野の変化球主体の投球の前に無得点に終わった。結局近鉄は2年前の129試合目で優勝を逃したときに抑えられた相手・星野にまたも封じられ、優勝するためには残り3試合に全勝するしかなくなった。

10月18日24回戦ロッテ6勝17敗1分川崎球場(11,000人)
チームRHE投手リレー本塁打
近鉄21300600012132山崎-石本ブライアント32,33号、吹石1号
ロッテ0000011002121荘-平沼-伊藤優-井辺
勝利山崎13勝7敗
敗戦荘13勝14敗試合時間3時間25分
勝利打点ブライアント13

 近鉄は山崎慎太郎、ロッテは荘勝雄、ともに二桁勝利を挙げている投手同士の先発だったが、試合は一方的な近鉄ペースとなった。初回にブライアントの2ランが飛び出し、2回には大石の適時打、3回には鈴木の適時打のあと、吹石徳一の今季初本塁打(2ラン)が飛び出し、早くも6-0となった。そして6回には満塁から新井の走者一掃二塁打、さらに「ミスター2ラン」ブライアントのこの日2本目の2ランも飛び出して12-0とし、試合を決めた。山崎投手は8回までに11安打を浴びたものの、ねばり強い投球でロッテ打線を2点に抑えた。これでマジックは2、残り試合も2、すべては翌19日のダブルヘッダーで決まることになった。

10月19日25回戦ロッテ6勝18敗1分川崎球場(30,000人)
チームRHE投手リレー本塁打
近鉄000010021460小野-吉井-阿波野鈴木20号
ロッテ200000100380小川-牛島愛甲17号
勝利吉井10勝2敗24Sセーブ阿波野14勝12敗1S
敗戦牛島1勝6敗25S試合時間3時間21分
勝利打点梨田2

 ダブルヘッダー第1試合、近鉄は中3日で10勝投手・小野、ロッテはこの年の最多奪三振投手・小川博を先発に起用した。ロッテは初回、愛甲猛の2ランで先制、近鉄は小川の前に5回二死まで一人の走者も出せなかったが、初安打がなんと鈴木のソロ、これで1点差に追い上げた。しかし7回、小野が佐藤健一に適時二塁打を打たれて再び2点差となった。近鉄は鈴木の本塁打の後、また無走者が続いていたが、8回一死から唯一当たっている鈴木が右前安打で出塁、代打・加藤正樹が四球で続くと、代打・村上隆行の2点適時二塁打が飛び出して一気に追いついた。引き分けでは優勝できない近鉄は、なお二死満塁のチャンスをつかみ、一気に勝ち越しをねらったが、ここはブライアントが三振に倒れた。
 近鉄は8回から守護神・吉井を投入してこの回を抑え、いよいよ最終回、9回表の攻撃を迎えた。当時の規則ではダブルヘッダーの第1試合には延長戦がなく、9回を終わって同点の場合は引き分けとなっていた。したがって近鉄はこの回に1点でもとらないと優勝の望みを絶たれることになる。オグリビーが倒れて一死となったが、続くベテランの淡口憲治が二塁打で出塁、代走に佐藤純一が起用された。ここでロッテは守護神・牛島和彦をリリーフに送ったが、好調の鈴木は右前安打を放った。しかし一挙に本塁をついた佐藤が三本間にはさまれてタッチアウト、挟殺プレーの間に鈴木が二進したものの、すでに二死で優勝の望みはついえたかに見えた。しかしここで近鉄ベンチは今季限りでの引退を決めているベテラン・梨田昌孝を代打に送った。梨田は牛島に自信を持っており、追いつめられたこの場面でみごと中前安打、鈴木がタッチをかいくぐってホームインし、近鉄は土壇場で勝ち越した。
 9回裏、吉井が先頭打者に四球を与えると近鉄ベンチはエースの阿波野を投入し、なんとか二死までこぎつけたが、佐藤健にこの試合4安打目となる二塁打を打たれて二死二三塁の大ピンチを迎えてしまう。続く愛甲には死球で二死満塁、1点とられた時点で優勝がなくなる近鉄にとってはまさに絶体絶命のピンチだった。しかし最後は森田芳彦を三振に切ってとり、なんとか逃げ切った。

10月19日26回戦ロッテ6勝18敗2分川崎球場(30,000人)
チームRHE投手リレー本塁打
近鉄0000012100490高柳-吉井-阿波野-加藤哲-木下吹石2号、真喜志3号、ブライアント34号
ロッテ01000021004112園川-荘-仁科-関マドロック17号、岡部11号、高沢14号
試合時間4時間12分

 泣いても笑ってもこの試合で優勝チームが決まるダブルヘッダー第2試合、近鉄は後半から先発ローテーションに加わって6勝を挙げている高柳出己、ロッテはここまで10勝の園川一美を先発のマウンドに送った。2回、ロッテはマドロックのソロで1点を先制し、またも主導権を握った。5回まで園川の前に抑えられていた近鉄は、6回表、ブライアントの敬遠で燃えたオグリビーが適時打を放って追いつき、続く7回には吹石、真喜志といった伏兵のソロで2点をリードした。
 7回裏、高柳が岡部明一にソロを打たれて1点差、さらに古川慎一にも安打を打たれると、近鉄ベンチは守護神・吉井を投入、しかし吉井は西村徳文に同点打を打たれてしまった。ところが8回表、近鉄の主砲・ブライアントのバットが火を噴き、ソロ本塁打で再び1点をリード、こうなると近鉄は8回からマウンドにエース・阿波野を送り、逃げ切りをはかる。しかし阿波野は一死後、この年の首位打者・高沢秀昭に同点ソロを浴びてしまった。
 9回表、近鉄は二死から大石が二塁打、続く新井の打球は三塁線を鋭く襲い、勝ち越しかと思われたが、三塁手・水上善雄の好守に阻まれ三塁ゴロとなった。その裏、阿波野が古川に安打を打たれ、続く袴田英利の送りバントもバッテリーの連携ミスで内野安打としてしまい、無死一二塁のピンチを迎えた。ここで二塁走者の古川が阿波野の牽制に刺されたが、ロッテの有藤道世監督は大石二塁手が走者をベースから押し出したのではないかと抗議、試合は9分間中断した。当時の規則で延長(12回まで)は4時間を超えて新しいイニングに入らないことになっており、引き分けでは優勝のできない近鉄にとってこのタイムロスは痛かった。試合再開後、阿波野が西村に二塁打を浴び、佐藤健は四球で二死満塁、続く愛甲の当たりは左翼線を襲ったが、左翼手・淡口がこれを好捕、なんとか延長戦へと持ち込んだ。
 延長10回表、近鉄は敵失で無死一塁の勝ち越し機をつかんだが、オグリビー三振、羽田も併殺打に倒れ無得点に終わった。この時点で試合開始から3時間58分が経過しており、10回裏のロッテの攻撃が2分で終わることはまず考えられないため、この時点で近鉄の勝利、優勝は絶望となった。そして10回裏、近鉄の四番手・加藤哲郎が先頭打者に四球を与え、試合開始から4時間が経過。約500人のファンが詰めかけた西武球場では西武ナインの胴上げが始まり、近鉄ナインは「スリーアウトだけの消化試合」を戦うことになった。しかしこの日のダブルヘッダーは多くのファンに感動を与え、「10・19」として長く記憶されることになった。

1988年10月19日全日程終了時の上位2チームの成績
順位チーム試合勝利敗戦引分勝率勝差
1西武13073516.589-
2近鉄13074524.5870.0

 近鉄は勝利数と直接対決では西武を上回りながら、引き分け数の差でわずか1厘4毛及ばなかった。これを教訓にセ・リーグでは1990年から延長15回時間無制限の引き分け再試合制度が導入された。しかしパ・リーグでは1993年まで4時間の時間制限が維持され、1994年以降時間制限は撤廃されたものの、延長12回引き分け再試合なしの制度は1998年現在変更されていない。


                   
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